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老人ホーム「風の舞」六人死亡。ケアマネ視点で思うこと

老人ホーム「風の舞」六人死亡。ケアマネ視点で思うこと

住宅型有料老人ホーム「風の舞」で起きた短い期間の間に6人が死亡。

またも、介護施設で起きた死亡事故。事故が起きるまでに職員が一斉退職していたり、会見に当たった施設の責任者の対応などもあり、まるで事件性がある事が「前提」であるかのような報道がなされています。 そもそも事故の背景となった。住宅型の有料老人ホーム。それを運営していた母体、ホームに入所していた人を支えるサービスの体制などをピックアップしていきたいと思います。

事故が起きた住宅型有料老人ホームとはどのような施設か?

老人ホーム「風の舞」は分類としてはいわゆる住宅型の有料老人ホームです。では住宅型の老人ホームとはどういったものなのか見ていきましょう。 まず前提として、有料老人ホームには「介護付き」「健康型」「住宅型」と主に三種類に分けられています。(これに加えサービス付き高齢者向け住宅やケアハウスなどもありますが、全て施設の区分では別類型になりますが、今回はこの点は割愛します) 「介護付き」の有料老人ホームはその名の通り、介護が必要な要介護者を受け入れる事を前提とした施設です。その為、「利用者3名に対して介護職員を1名」といった決められた人員配置を行わなければなりません。また、入所施設とほぼ同じ仕組みになっているので、「外部の介護サービスを利用することが出来ない」という事が特徴です。

そして、「健康型」や「住宅型」と言われる有料老人ホームは軽度の介護状態、もしくは自立しているけど、「一人では生活が不安」といった方が利用することを前提とした施設です。自立している人、もしくは軽度の人を対象にしている事もあって、人員の配置は「介護付き」に比べて厳格な基準がなく「必要数配置」とされています。そしてだんだんと介護が必要が必要になってきた場合は外部のサービスを利用して生活を継続するか、もしくは退所する…という風に対応していくのが一般的です。「必要数」というのがどの程度なのかの解釈がしめされていない事もある為、職員の配置は運営側に任されている…というのが現状です。 その為、今回の事故も9月末でホームに勤務する介護職員が全員退職する…という状態でも、法律的に運営基準の違反をしている訳では無いのです。

住宅型や健康型の老人ホームの介護事情は?

という事で人員配置があいまいな有料老人ホーム、じゃあ実際に介護が必要になったらどのような体制になるのか… 有料老人ホームの多くはこういった事情の為、ほぼすべての有料老人ホームに併設もしくは隣接している在宅の介護サービスもワンセットでついているのです。「風の舞」も隣に通所介護、併設事業所に訪問看護、訪問介護と施設内の職員はいない状態ではあったものの、死亡した六人の利用者もこちらの外部サービスは使用していたと考えられます。会見ではホームの代表の人も「医療の提供はこれ以上ないくらいに提供していた」といった旨の発言をしていたので、そのあたり提供していたサービスの環境は充実していたようですのでその辺自信があったからこその発言だったのかもしれませんね。ただ、結果としては多くの方が一度に亡くなったようですからやはり介護職がいない事の影響はかなりあったのでしょう。

虐待の認定はされなかった?

一部のケースは介護放置として虐待認定をされましたが、結局何件かは虐待とまではいかなかったようです。終末期の状態の方を積極的に受け入れていた事もあるので実際老衰の方も多かったでしょうから、全てを虐待として認定するのは難しいんでしょう。おそらく地域では劣悪な環境…という噂は以前よりあったんだろうとは思います。代表の人が口にしてた「誰も受けてくれない所を受け入れていた」との事ですからおそらく地域での最後の砦的なポジションの病院なのでしょう。最後の砦的なポジションというのは、医療度が高いひとや(透析やいろうの患者さん)身寄りがなく特養などにも入所が出来ず…更にお金もない…(生活保護を受けているような人)と言った方が、受けるケアの質は置いといてとりあえずどっかに入れないと…と、なって主にケアマネや家族、親族から選ばれる病院です。医療費は支払いの限度額があったり、部屋が個室でなければ部屋代がかからないので施設入所だと高額になるけど病院に入院した方が安くなる場合があります。その為、金銭的な支払い能力のない方なんかは施設入所出来ずなんとか在宅ですごし、限界が来て自宅で怪我→急性期の病院に入院→急性期の病院は入院の元になった病気の治療が終わったら退院→行くとこなくて最後の砦の病院に転院 みたいな事は頻繁にあります。そういった入院を社会的入院とも言いますが増え続ける社会保障の費用などもあって、社会的入院が出来ないような仕組みになって来ているのも事実です。おそらくこの病院もそういった事情の中で建てた高齢者施設だったのではないのかと思います。というのも通常の家賃が一般的な施設に比べて異様に安い。家賃、食費、管理で76000円程なので。一般的な施設の6割程の金額なのです。ここに介護サービスの費用は別にかかるのですが、この施設では1ヶ分の費用としてすでに要介護ごとに金額を設定しているのでそれをあわせても10万前後なので、介護施設のなかではかなり安い部類に入る事になります。ですから、おそらくこの施設、ケアの質うんぬんの前にそれなりの需要があったんだと思います正直こんな施設あったら良かった。と思うぐらいハード面は良いと思います。

比較的新しい住環境。負担の少ない入所施設。住みやすい自然のある土地。訪問看護、訪問介護、居宅、診療所が併設されている…と、介護サービスの担い手が少ない地方都市の地域では羨ましいぐらい充実した法人だと思います。運営が、ずさんでなければ素晴らしい料金体系や介護環境になってたんだと思います。

たとえ介護の評判が悪くても頼らないといけない場面がある

一人暮らし、認知症、家族の理解力不足、疎遠、胃ろう、透析、様々な背景があって、自宅で1人暮らしをする事が困難な利用者は施設もしくは病院などでみてもらう他ありません。私達、介護関係の人間が放置する訳にはいかないのです。そういった人を無理に在宅に放置すれば、それこそ私達が責任を負うことになります。そのため、「急変し入院することになった」「認知症が進みすぎて1人で暮らす事が難しくなった」でもすぐに入所は出来ない…。病院も今は、大きな診断がなければそうそう簡単に入院をさせてくれません。そんな場合に頼るのが、「評判は良くないし、普段はできれば紹介したくないけども、常に空きがある」という施設です。最後の砦と言っても過言ではありません。おそらくこの法人もそういった側面があったのではないのでしょうか?法人のホームページを見るにブラックな香りがしますが、経営者もそれなりの志があって運営していたのは伺いしれます。今回、この施設は指定の取り消しなどの処分を受けるわけではなく改善指導を受けるに留まっています。地域では数少ない、介護サービスの担い手として今後の動向に注目して行きたいと思います。

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