不況に強い介護職

介護の人手不足は不況によって改善される?介護業界を10年以上見てきた人間が介護業界の将来を予想します

介護の人手不足は不況によって改善される?

こんにちは

ぶるさんです。
コロナウイルスによって、毎日閉塞感のある日々が続きますね…
ワクチンも開発するまでに長期間かかるともいわれていますね。
今の生活も長期戦を覚悟した方が良いでしょう。

わたしの働く施設でも1日何回も
「消毒、消毒、消毒」
「換気、換気、換気」
「体調、体調、体調」
と毎日ピリピリしながらコロナウイルスの対策をしています。

これを毎日の業務に更に上乗せされるわけですから現場の負担は相当なものです。
それでも、今後はこれぐらいの感染症対策が標準の業務、対応として業務に含まれるものと考えて人員の確保をしていかなければならないでしょうね。

そして、コロナウイルス禍の中懸念される長期に渡る不況。さらに不況に強いといわれる介護業界。今回の不況でも介護業界は強さを見せ、人出不足が解消されるのか?

今日はそんな話をしていきたいと思います。

介護職は不況につよい?

介護業界は一般的に不況に強い仕事といわれています。

不況に強いといわれる理由として

  1. 入るお金のほとんどが公費で賄われる
  2. 超高齢社会で需要が大で、売り手市場
  3. 高い給料は望めないが給料が極端に低い訳ではないので仕事が無い時期(不況の時)に正社員になりやすい
  4. 資格をとる為のハードルが他の公費で賄われる職業の中で圧倒的に低くはじめやすい

といった理由が挙げられます。

介護は、介護保険と言われる公的な保険制度で運用されており公定価格で定められたサービスを提供するとその分が事業所に入る…という流れで介護保険事業者にお金が入ってきます。

また、あらかじめ定められた定員を満たせばある程度利益が出るという制度設計がなされており利用する高齢者が沢山いる以上、大儲けは出来ないものの経営自体はさほど難しくないというのが特徴です。
常に有効求人倍率は高水準で人出不足が常態化している業界です。その理由として給料が、他の産業に比べると低い事が原因と言われます。景気が良く仕事が沢山あるときは、低賃金で重労働な介護職はコスパが悪く人気が低いといわれ、不況で仕事が無いときは景気に左右されず常に仕事があり、一定の収入が見込める介護の仕事は比較的仕事に就く人が増えます。こういった傾向が色濃く残るのは、資格取得の容易さと参入のハードルの低さが一つの要因として挙げられ、それゆえ「介護は不況に強い」と言われるのでしょう。

それは現在も多くの人の共通認識として知られ、今回のコロナウイルス不況でも一定の人々そのように唱えています。

今回のコロナウイルス禍においても同様に介護の仕事に就く人が増えるのか?

最初に結論を申し上げますと「正直厳しい」と言わざるをえないでしょう。

何故なら、今回のコロナウイルス禍における不況は近年起きた不況とは全く異なるものと言えるからです。

以前2008年頃にあったリーマンショックと言われる大不況の際は、介護職の有効求人倍率は一気に下がりました。この時は、株価が暴落したりすることで一般企業の倒産やリストラなどで一気に多くのサラリーマンや派遣労働者が職を失いました。

その中で、そういった人が介護の仕事に流れる事で人出不足は約半分に減少しました。

通常の不況に強いといわれるのはこういった金融系を発端とした不況ですが、今回は金融系などの一部の業種だけではなく、コロナウイルスという全ての人類の行動を制限する感染症から命を守る為、全ての経済活動を止めるが故に発生する不況だからです。

コロナウイルスは実体経済に直接影響を及ぼすだけでなく人々の命を脅かします。

命を守るための防御行動をとった結果の不況であり、従来のように住む世界を切り分けたような一部の人しか実感しない不況とは全く性質が違います。

そして今回は経済的な不況だけでなく、感染症という見えない恐怖とも戦わねばならず社会を支える、医療、介護、小売り、流通などのいわゆる低賃金で働く層も感染のリスクを伴いながら社会生活を送っている状況です。

仕事を失うか、わが身の危険を冒しながら仕事を継続するか?

そのどちらも直接、間接的に命にかかわり全ての人が災難に見舞われるというような状況です。
一時的にコロナウイルスが終息し、ある程度経済活動が再開したとしても、おそらく破壊的な経済状況から長期の不況が続くでしょう。また、コロナウイルスのワクチンなど抜本的な治療方法が開発されない限り、いままでと同じようなペースで経済活動を続けるのは難しく、感染拡大と終息を繰り返しそのたびに経済を止め…という事を繰り返すことになるでしょう。

介護の仕事に関しても、今回ばかりはデイサービスや介護施設で集団感染の発生も報告されています。コロナウイルスの感染が発生すればデイも休業を余儀なくされますし、未知のウイルスの脅威の為、介護職の「不況でも安定している」という前提も足元から揺らいでいます。

さらに三密になりやすい介護施設の環境、感染症のリテラシーが低い認知症高齢者がメインの利用者である点などを踏まえ、一般的な職業と仕事を脅かされるリスクはあまり変わらない、もしくはそれ以上ともいえるでしょう…。

そういった理由から、今回のコロナウイルス禍では不況だからと言って人出不足が解消するのはなかなか考えにくいと感じていますし、下手すると人出不足に拍車がかからないか危惧しています。
さらに今回のコロナウイルス禍で一気にリモートワーク、ビデオチャット、遠隔医療など今までなかなか普及のしなかったICTを活用した「人と人とが直接かかわらない環境でも社会生活が出来る」環境が一気に進むと思います。
その中で、どう頑張ってもリモートワーク化するのが難しい介護業界はコロナウイルスに感染リスクの高い業種として扱われるでしょう。

正直、危険手当を創設したり、相当待遇を上げなければ人材の確保は今後かなり難しくなるのではないかと危惧しています。
今は医療現場のひっ迫している現状ばかりが取りざたされていますが、介護業界もケアしないとホントに業界がパンクして介護の担い手不足で日本の社会が崩壊するのではないかと懸念しています。

是非、国には政治的な介入を積極的にしてもらいたいと願うばかりです。