介護施設の手に負えない高齢者ってどうなるの?
疾患由来(診断がついていない)ではなく、性格や人格的に問題行動(スタッフへの暴力や暴言)がある利用者様に強制退去等しっかりとした対応を施設側はするべき。入居時にきちんと説明して曖昧にしない。それがスタッフや利用者様の安全はもちろん、介護の質や地位向上にも繋がると思う。
— モンちゃん@介護福祉系Ns (@ns_monchan) July 7, 2018
こんなツイートを見かけました。
要するに介護施設に入所している利用者で、暴言や暴力がある人は強制的に退所させましょうという意見。
実際介護の現場では介護職員といえど手を持て余す利用者が少なからずいます。
最近では介護職員が利用者にハサミで刺されるという事件もありました。
このように、利用者から介護職員に対して危害を加える事が介護施設には往往にしてあるということも明らかになってきています。
では、実際の介護現場ではどのように対応しているのでしょうか?という所を今回はお話したいと思います。
実際に介護職員の暴力などで退所になるのか?
介護の現場で職員や利用者に危害を加える利用者というのは
- 特定の認知症(前頭側頭型認知症の方やレビー小体型認知症)に対して不適切な対応をしてしまう。
- 極度のせん妄と言われる症状が現れ、なんとかいい聞かそうとするが相手も訳が解らないので結果暴力を振るう。
- 元来の性格的なものが起因している。(暴力など力で人に言うことをきかせていた人など)
主に三パターンが考えられますが、実際に介護施設を退所になるケースはあまりありません。というのも、介護施設は公共性が高く社会保障の範疇にある為、施設の都合で退所させる事は基本認めていません。施設を退所しうる明確で客観的な根拠がなければ簡単に退所させられないようになっています。そうでないと、待機者が多く引く手数多な施設側が有利になってしまいます。自分の家族がちょっと手がかかるからと言ってすぐに退所させられたりしたら心配ですよね?
暴力や暴言が酷い利用者にはどんな対応をしている?
暴力や暴言の行為などが酷い利用者に対する対応として、まずは暴力行為のきっかけになった事象を調査します。
その時に起こった暴力や暴言が関わり方でなんとかならないか検討します。ただし、現実的に出来る対応の範疇で検討します。
「24時間付きっきりであれば対応可なんてのは現実的ではありません。」検討した対応でうまく行かなかった場合は、家族や本人とも話し合いの場を持ちます。命に関わらないような介護は優先順位を下げさせてもらう(無理に行わない)事も案として提案し、そもそも怒らせるような原因を作らせないようにします。
ただ、あまり見ていない家族ほど「対応によって暴言やら暴力やらを抑えるのがプロ」という幻想を抱いている人も少なからずいて、「あんたらプロなのにそんな事も出来んのか?」と言ってくるわけです。
「暴力の原因をたどり、たどった先に対応ができるのか、できないのか判断するのがプロ」
である事を説明します。こうすれば良いんじゃないか?という施設側の提案があるにも関わらずそれを受け入れて貰えないのであれば、後は薬でコントロールするしかない事を伝えます
その時に、言動、どんな暴力行為があったか、その暴力行為の頻度、暴力によってどのような被害が考えられるか?などは必ず記録を見せながら説明をします。(客観的な事実をみてもらいます)
それでも、家族に理解を得られない場合にはじめて退所をチラつかせます。
他の利用者に危害が及ぶ可能性を施設側も放置できませんからね。そこは強調します。
ただし、施設入所の方は先ほども述べたように、行き先がない状態で退所を強制的にさせることは問題です。いくら問題があっても素人である家族に丸投げするのはそれはそれで無責任になります。(というか、行政にバレたら指導の対象になります)必ず施設を退所することになった場合も、行先を決めた状態で無ければ基本退所させられないのですし、そこは生活相談員などの相談援助職が各機関と連携して必要な支援を行います。
このように退所させるにも結構労力を使いますが、正当な理由で退所させるにはこれだけの手順を踏まなければなりません。
今後もこういった利用者はこれからも増えていくでしょうし、そういった時に円滑な対応が出来ないと最悪、訴訟などに発展しかねないので、対応方法はしっかり定める必要はあると思います。